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◆短編
一人で悩まないで
natsu様:作
[紹介文]本当に悩んでいる時こんな人が居たら良いなと思い、書きました。
「無理すんな」
彼の一言は、私の理性を崩すのには十分だった。
自分で選択した道は思っていたよりも厳しくて、毎日が苦痛だ。どんなに頑張っ
ても追い続けなければならないし、何も知らないものだから手探りで行動するし
かない。正直辞めたい気持ちだってある。でも私に合うことはこれしか無くて、
後戻りするのにはもう遅すぎなくらいだ。
だからただ、感情は二の次にして、理
性のみで頑張るしか無かった。
身体はまだ着いていける。でも心は既にボロボロで限界だった。
いや、既に限界
を超していたのかもしれない。気付いたら喉に蓋がされているように、何かつっ
かえるものがあって、その奥では吐き出してしまうくらいたくさんの何かが犇め
き合っていた。とにかく気持ち悪くてどうにかなってしまいそうだった。
そんな
状態で明くる日も明くる日も、毎日毎日、平然を装って過ごした。
何かが変わる訳でもない。
ただ同じことをして経過する時間を生きる自分が一体
何なのか、自分の存在理由をも求めるようになっていた頃、ふと現れた彼。
とて
も優しくて暫く幸福を感じていなかった私は、彼に何をした訳でもない。ただの
友達の一人でしかない彼は私に暖かい言葉をくれた。
彼の言葉は疲れて病んでいた心に浸透して、やがてじんわり暖かくなった。
彼を映している瞳が揺らぐ。
自然と目から零れる雫の正体が何なのか、すぐにわ
かった。今の私の顔はくしゃりと歪んで見るに堪えない表情をしているだろう。
それでも動揺することなく私の左肩と頭のてっぺんに手を乗せてにっこり笑って
「よく頑張ったな」
と慰めの言葉を掛けてくれた。右肩に置かれた手はするりと背中に回り、とんと
ん、とリズム良く優しく叩いてくれた。ああ、崩壊してしまった私の理性は暫く
戻りそうにない。
その日、私は気が済むまで泣き続けた。ありがとう、ありがとうと言葉を呟きな
がら。
一人で悩まないで。必ず誰かが君の近くに居ることを忘れちゃいけないよ。
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