いますぐ……、
会えたりしますか?

短編

ヒトり
皇藤 緋織様:作



[紹介文]独りで生きるということ。
でもそれは本当は独りじゃなくて、
そう見えているだけで。


一人で生きて行くということ。


独りで生き続けなければならないということ。


それは、こんなにも不安で、淋しいけれど。


夜、空を見上げれば。


暖かな淡い光を放つ月が、いつも 自分を見守っていて。


まるで、目が離せないとでもいうように、
何処までも 追いかけてきてくれて。


何故だろう。


月が、自分を必要としてくれているように感じていた。


世界中でただ一つ、月だけが、
自分の存在を認めてくれているような 気がしていた。


ねぇ、
世界は広いね。


広くて、 残酷 だね。


沢山の生き物が、ここに生きていて。


無数の軌跡を刻んで、時間は流れていくね。


こんなにも、人で溢れていて。


こんなにも、灯は輝いて、モノは溢れているのに。


どうしてだろう。


僕には、眠るところもないよ。


帰っていく 居場所 もないよ。


誰も 僕を見て、必要としてはくれないよ。


まるで、僕はここにいるのに、
ぼくはここにいないみたいだ。


優しく撫でてくれる温い手も知らない。


無条件で受け入れてくれる 愛しい人を知らない。


まるで道端に咲く雑草のように。


世界に廃棄されたゴミのように。


皆、通り過ぎていくね。


いつか、誰かから聞いた。


この世界の、ある場所で生まれた者は、
必ず 必要としてもらえるらしい。


必ず、愛する人と出会えるらしい。


道端に咲いた雑草なんかじゃない。


独りぼっち じゃない。


それは、とても幸せなんだろう。


きっと…
毎日眠れる場所を探して、残飯を漁って、
そして、時に空に浮かぶ あの月に、
慰めてもらいながら、生きている僕には、
きっと 分からない温もりなんだろう。


日々を過ごすうちに、段々と重くなっていく躯。


生きている意味を問うのはやめた。


幸せを探して、顔を上げるのも、もう やめた。

ねぇ、
世界は儚くて 恐くて、でも、時に甘美で。


独りで生きることは、淋しいよ。


暗くて、寒くて、果てのない道を、
永遠に歩き続けるかのよう。


でも本当は、誰も独りぼっちなんかじゃないんだ。


地はここにあって、空はそこにある。


月はいつも、優しい表\情で自分を見ていて。


そして、いつかきっと、愛しい
たった一人のヒト のところへ導いてくれる。


この汚いぼろ切れのような身体を、
優しく抱え上げてくれる。


行き交う雑踏の中で、たった一つ
自分だけを、見つけてくれる。


あの時、生まれたことを呪ったよ。


あの時、こんな寂しい世界を、悔やんだよ。


優しいモノなんて何もない。


温かなモノなんて幻想で、
必要としてくれるヒトなんて一人もいなくて、
自分なんか、この世界にまったく必要じゃない と、
思ってた。


でも、淋しい時は、どうか見上げて。


空には、和やかな雲や、優しい月がいつもそこにいて。


たまに 見えなくなる時もあるけれど。


でも、ちゃんとそこにいるよ。


そこにいて、君を見て、君を必要としてくれてるよ。


自分を想ってくれる人が、一人もいないなんて そんなこと
決してないはずだから。


今では、この暖かな温もりを知ってるよ。


世界が愛しくてしょうがない。


なんの価値もないような、
こんな黒猫を拾ってくれたあなたが、大切だから。


 きっと 誰よりも、僕は幸せ







いますぐ……、
会えたりしますか?

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