恋愛仙人の
モテ度診断☆
◆短編
奈緒也の夏休み
なおりく様:作
−俺と奈緒也の夏休み− 〜それぞれの想い〜
今年の夏は10才になる息子を、
九州にある俺の実家へ一人で行かせる事にしていた。
奈緒也は独りっ子のせいか、
少々 甘やかして育ててきてしまった。
小学校はちょうど今、夏休み。
毎日、ゲームだテレビだと家でダラダラ過ごすよりはいいだろう。
何より、
甘ったれで泣き虫な性格を何とかして直してやりたかった。
自然の中で遊ぶだけでもいい経験にもなるし、
彼自身も成長するだろう。
奈緒也にこの事を話したのは三日前。
「いやだ。 行きたくないよ。」
予\想していた返事だ。
しかし俺は何とか説得する事が出来た。
「夏祭りがあるんだ、楽しいぞ。すいかも食べ放題だし…」
少々不満げではあったが、とりあえず行くことを承諾した。
出発の日の朝…。空港へと向かう車の中・・・
「本当にこれで良かったのか?」
「まだ少し早すぎたんじゃないか?」
自分自身に何度もそう問いかけていた…。
空港には予\定通りの時間に到着し、
この先の搭乗口からは奈緒也一人だ。
機内へは搭乗員が付き添い、1番先に搭乗した。
奈緒也は一度もこちらを振り返ることなく、
すんなりと乗りこんでいったので、
その姿がかえって寂しげにうつり、俺は少し後悔した。
3時間程して、母親から電話があった。
無事に到着した との連絡だった。
「奈緒也はどう?」
「お腹が空いたって言うから、近くのラーメン屋にいるよ。」
最初はよそよそしかったらしいが、
今はだいぶ慣れてきたみたいだ。
「どうしても、ゴネて手に負えなくなったら連絡してくれ。」
母親にはそう言っていた。
「それ以外は里心がつくとかわいそうだから
こちらからは連絡はしない」とも伝えてある。
久しぶりに嫁と二人。
いつも二人の間には奈緒也がいた。
10年ぶりに二人になると、何だか照れ臭い。
「映画でも見に行く?」
「そうね。」
子供のいない二人きりのデート…。
なのに俺達の会話は奈緒也の事ばかりだった。
やっぱり奈緒也がいてこそ、俺達は家族なんだと、改めて感じた。
この日、一晩中電話を待っていたが、実家からの電話は無かった。
それからあっという間に10日間が経った。
今日は奈緒也が帰って来る日だ…。
朝、実家に電話をした。
奈緒也が出た。
「お父さん、いろんな事したよ。
帰ったら教えてあげるね。」
何故だろう…。 凄く嬉しかった。
空港に迎えに行くと、
俺を見つけた奈緒也が全力でこちらに走って来た。
真っ黒に日焼けしていた。
初めての事だ。
「お帰り…。」
軽く頭を撫でて最初にそう言った。
「うん…。」少し照れたようにそう言って笑った。
帰りの車中で、俺は田舎での日々の事を聞いた。
畑でトマトを採って食べた事。
川でザリガニを採った事。
海でスイカ割りをした事。
夏祭りではしゃいだ事。
結局その日は、帰ってからも遅くまで話をした。
「奈緒也…。」
「何?」
「いや…、何でもない。」
「ねぇ、お父さん、今度カブトムシ採りに行こうよ。」
「ああ…、そうだな。」
目の前にいる息子は明らかに以前よりも大きくなったように見えた…。
本当に、大きく見えた。
「なぁ?」
「うん?何?」
「もう一人位、子供・・・いてもいいかもな。」
−完−
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