★H度診断★
好きな体位は?

短編

セカイの歯車
神海ヘヴン様:作



2 世界の歯車を失ったら、別の歯車で補えばいい。


僕は1ヶ月の逃避のすえ、その考えに至った。


僕は一生をかけて手に入れる金額のロボットを買った。


両親は最初反対していたが、僕が全額負担するのと、
僕の妹に対する思いを言って、やっとのことで了承を得た。


名前は妹の名前にした。


最近の技術は素晴らしく、
妹の肉体のレスポンスを細かく再現して、
妹そっくりのロボットが送られてきた。


まるで、妹が蘇ったかのように。


「兄さん、お風呂空きましたよ」


居間でくつろいでいると、パジャマ姿の楓が来た。


「よし、じゃあ一緒に入ろうか」


「変なこと言わないでくださいょ」


「冗談だよ、本気にするな」


「別に本気にしてませんけど」


口に手を当ててくすくすと笑う楓。


本当に蘇ったみたいだ。失ってしまったあの頃の時間も、何もかも。


けれど…


「こうしてると、あの頃を思い出すよ」


「え? あの頃って何です?」


「……」


楓は完璧ではなかった。


例え零細に「楓」を表現しようと、
楓は「楓」にはなれなかった。


肉体は完全に「楓」を再現していようと、
性格や記憶、精神は再現できなかった。


技術はそこまで進化してなかった。


いや、例え進化していたとしても残っている違和感。


人は蘇らない。代用は代用。その人になりきれない。


記憶は、消せない…


「楓」との記憶は忘れられない…


どれだけ楓を求めても、死んだ「楓」は戻らないッ!


「ぅ、ぅうぁぐ…」


不意に涙が出ていた。


目頭が灼熱のマグマに落とされたように焼き切れる。


大粒になった涙が、重さに耐え切れず床に落ちた。


涙は床に吸い込まれず、球体を保っていた。


まるで、小罪を犯した魂のように。


「兄さん? 大丈夫?」


楓の僕を心配する声が降ってくる。


そこにいるのは楓。「楓」じゃない。


いたたまれない気持ちが溢れ出す。


痛い。悼い。居たい。


暗い。食らい。Cry。


「楓」。


「楓」「楓」。


「楓」「楓」「楓」。


「楓」「楓」「楓」「楓」「楓」「楓」
「楓」「楓」「楓」「楓」「楓」「楓」
「楓」「楓」「楓」「楓」「楓」「楓」「楓」。


「う、うわぁぁうぐぇ」


僕は泣きながら楓に抱きつく。


楓は驚くこともなく、そのまま手を後ろに回してきた。


僕は楓を抱き締める。


温もりを感じる。温かくて、優しい温もり。「楓」がそこに居るみたいに。


「…楓」


次第に僕は落ち着きを取り戻していた。


「何ですか?」

「小罪を犯した魂は何処に居ればいいのかな」


「…私が居場所じゃダメですか?」


それから楓は、ずっとそこに居てくれた。



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