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◆短編
蒼
架崎 眞様:作
[紹介文]春はきっと、
すぐ傍にあるのだと、信じたかった。
河川敷から見える空は何処までも高く、
白い雲はまるで綿菓子のようにふわふわと浮かんでいた。
私はふぅ、と溜め息をつき、
まだ見ぬ新しい世界への高揚感を必死で押さえ込む。
彼も、この空を見ているのだろうか。
そう思うと、不思議に笑みがこぼれてきた。
「小雪ー!早く行かないと遅刻するよー!」
友達が私を呼ぶ。私は二つ返事をして、
もう一度空を仰いだ。今日は高校の入学式。
左手のまだ新しい腕時計を見ると、
開始の時刻まであと30分も無いことを知る。
内心焦りながらも、元々の性格なのか、
呑気な考えしか浮かんでこない。
急かす友達を横目で見ながらも、
私は彼のことを思った。
中学の卒業式に告白してくれた彼。
私はその時好きな人がいたので即座にふってしまったが、
その時の落ち込んだ顔は、今でも頭に焼き付いて離れない。
好きな人には、結局フられてしまったけれど。
人の想いを裏切ることが、
どれだけ辛いか教えてくれた人。
有難う、とも言えずに、
高校は離れてしまったけれど。
私は彼をずっと忘れないだろう。
空は蒼く、雲は漂う。
新しい恋を探さなきゃね。
と己に言い聞かせ、
私は急いで友のもとへと駆けていった。
終
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