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短編


架崎 眞様:作



[紹介文]春はきっと、
すぐ傍にあるのだと、信じたかった。


河川敷から見える空は何処までも高く、
白い雲はまるで綿菓子のようにふわふわと浮かんでいた。


私はふぅ、と溜め息をつき、
まだ見ぬ新しい世界への高揚感を必死で押さえ込む。


彼も、この空を見ているのだろうか。


そう思うと、不思議に笑みがこぼれてきた。


「小雪ー!早く行かないと遅刻するよー!」


友達が私を呼ぶ。私は二つ返事をして、
もう一度空を仰いだ。今日は高校の入学式。


左手のまだ新しい腕時計を見ると、
開始の時刻まであと30分も無いことを知る。


内心焦りながらも、元々の性格なのか、
呑気な考えしか浮かんでこない。


急かす友達を横目で見ながらも、
私は彼のことを思った。


中学の卒業式に告白してくれた彼。


私はその時好きな人がいたので即座にふってしまったが、
その時の落ち込んだ顔は、今でも頭に焼き付いて離れない。


好きな人には、結局フられてしまったけれど。


人の想いを裏切ることが、
どれだけ辛いか教えてくれた人。


有難う、とも言えずに、
高校は離れてしまったけれど。


私は彼をずっと忘れないだろう。


空は蒼く、雲は漂う。


新しい恋を探さなきゃね。


と己に言い聞かせ、
私は急いで友のもとへと駆けていった。










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