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saori様

もう一人の父


[紹介文]もう少しだけ 父でいてください
薄暗い病室


青白い蛍光灯の下に横たわっているのが


僕の父です


血は繋がっていません


記憶にあるのは


背中の入れ墨


母をかばったときに殴られた痛みと


気がついたら父だったことぐらいです


そんな僕の父は


今 病魔に犯され


こうしてじっとしたまま


無表情のまま戦っているのです


「まるで、病人みたいや… 」


僕がそうゆうと


父は薄ら笑ってうつむいていました


僕はあなたを怨んでいました


母はいつも泣いていました


それでも母はあなたを愛した


僕はあなたを怨んでいました


だけど今になって思い出す


独り言のように僕が


欲しいと言っていた廃版本


どうやって捜したのか


学校から帰ると


机の上に置かれた本の山


それでも僕は「ありがとう」も言えず


ひとり 家を飛び出してしまった事を


あなたが


どうしようもない母を


本当はどうしようもないくらい


愛していたんだって事を


うっとうしいと思っていた電話も


本当は誰よりも


僕の将来を心配してくれていたんだって事を


そして もう


電話ごしのあなたの明るい声が


聞けないかもしれないという事を


薄暗いこの病室


青白い蛍光灯の下で


力無く横たわっているのが


僕の父です


血は繋がっていません


今一つだけ解ることは


僕は ここにいる


”もう一人の父“ が


好きだという事


だから


もう少しだけ


眼を開けていてください


「 お父さん 」


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