短編

球体の浮かぶ部屋
みさき 様:作



[紹介文]浅はかな内容の短編ですが、どうぞ宜しく。



大きさも並び方もバラバラな白い球体が沢山浮かんでる部屋がある。

部屋の壁も 白い。何故重力を無視して球体は浮かんでるのかは未だ謎のまま。白い球体以外 のものはその部屋に入っても浮かぶことはない。

一つ、手が届くところに浮かん でる球体を両手で触れた。

固い。力を込めると、ぎぎぎぎと音を立てて、真っ白 だった球体に、突如一本の綺麗な横線の割れ目が出来、割れ目が開いた。どれも 同じ大きさの、ぎざぎざの歯が綺麗に並んでいた。

歯もその奥もやはり白い。そ れが私の方に伸びて来て、ぱくりと、私の頭を、首を、一気に鎖骨辺りまで噛み 付き、みしっと音を立てて食い千切った。

そしてそのまま私は飲み込まれた。

す ると、球体は、元の丸い形に戻ったかと思うと、瓢箪のような形になり、分裂し た。新しい球体が生まれたのだった。

私の残った体は、誰かが来るまで虚しく立 っていた。

不思議とその体は、食い千切られたというのに、血は一切流れておら ず、まるで、その断面は、粘土を千切ったかのような形状だった。



第U

白い球体が浮かぶ部屋を真上から見ている人がいた。

真上の何もない部屋から透 視出来るらしい。

白い球体が浮かぶ様を見ていたって何か特別なことが起こる訳 でもあるまいが、その人は物凄い形相で球体を見ていた。

球体を見ることが、そ の人にとっての最優先事項だった。ただただ球体を見て…いつの間にかその人は 死んだ。



第V

球体の浮かぶ部屋の外で、奇怪な事件が起きた。

それは、山羊と山羊が頭をぶつ け合い、脳振盪を起こして倒れ、それを見ていた二匹の猫もまた、同じことをし て倒れ、更にそれを見ていた二匹の犬、鳥、人間も同じことをして倒れ、それは 昼の間だけ続いたということだった。

倒れたときの衝撃で血を流す者もいた。倒 れたときの衝撃で死ぬ者もいたが、いずれにせよ何故このような事件が起きたの かは、球体の浮かぶ理由と同じく、未だ解明していない。



「あの人とは生まれる前から知り合いでした」

彼女は言った。

「最初は気付きませんでした。今となっては証拠こそありませんが、そう信じて 疑いません」

続けて彼女は言った。

私は黙って話を聞き、ある場所へ向かった。

球体が浮かぶ部屋に。



* * *



最近新しく生まれたひとつの球体に向かって私は言った。

「食われた後の残った身体を見て、彼女は放心していたよ。君、彼女とは親友だ ったそうだね」

球体はそれを聞いて、ぎぎぎぎと音を立てた。

私は部屋を出た。家に帰る前に、また彼女に会おうと思った。




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