15・「ごめんなさい」
まだそんなに離れていない。
自転車のスピードは勢いを増す。
生姜畑の向こうに家が見えてきた。
僕は自転車をとめて鞄の中からシールシートを取り出し右手に握った。
玄関で女性が花の手入れをしている。
女性は僕に気づき振り向くと、立ち上がり手にはめていた軍手を外した。
やんわりとした品のよさそうな年配の女性だった。
「ひなちゃんはいますか?」僕はそう問うた。
女性は僕の目を見つめ、
1礼すると玄関扉の方へ歩みより扉に手をかけ開く。
「ひな〜お客さんよ」やわらかい声だった。
パンジーやビオラの花には水がかけられ
花弁に水の雫が残りミラーのように見える。
家の敷地内から出て僕は白い塀の脇にとめていた自転車のそばで待った。
程なくしてカツンカツンとつっかけの擦れる
音のあとに女性が出てきた。
半袖から伸びる白く細い腕が僕の瞳に映る。
女性は僕と目が合うと、とても驚き、そして僕から目をそらした。
女性は踵を返し僕の視界から消えていった。
目を閉じる。
間違い探しの絵は完全に一致した。
僕は目を閉じたまま深呼吸をして、玄関で年配の女性に
「これを渡してください」とシールシートを手渡した。
僕は自転車を引く。
【0020】
次へ
戻る
あなたも小説を投稿しませんか?短い内容でもOKだよ!→
投稿ホーム←
☆DISマガジン登録☆
モノクロレターTOPへ戻る
ト襯iscovery覽OPへ戻る
(c)携帯小説襯iscovery