13・落ち着け僕の鼓動。
今朝はいつもより早く目が覚めた。
カーテンを開けて外を眺める。
まだ朝日は差しておらず、朝靄がかかり山や田んぼが幻想的な風景に見えた。
別世界にいるんじゃなかろうかと錯覚さえ覚える。
遠くに新聞屋のバイクが走って行くうしろ姿が見えた。
僕は階下へ降り、居間の窓を開けつっかけを履き庭に出た。
手入れを怠っているので雑草があちこちで伸びている。
僕は目を閉じたまま深呼吸をした。
鼻の奥へ朝靄と一緒に草木のにおいが入り肺が膨らむ。
ふぅ〜と息を吐き、目をあけ、今日の始まりを感じ取っていた。
朝日をうけながら僕は自転車を漕いでいる。
町も山も田んぼも目覚めようとしていた。
シャーと軽快に車輪が回る。
局に着き自転車置き場に自転車を止め、
僕はロッカールームで制服に着替えた。
−おしごとがんばってください−
ロッカー扉の裏側に貼っているその手紙を見て1日を誓う。
午前の配達が終わり、局内で身体を少し冷やして、午後も配達に出かけた。
夏を思わせる日差しはぐんと高く
僕の腕にはシャツの跡がくっきりとつき、
日増しに真っ黒になっていく。
【0016】
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