10・ナイスキャッチ?


局のバイク置き場で雨合羽を脱ぎ、
局内に入ろうとすると「りお」と矢野の声がした。


振り返ると桃色の花柄の傘をさし、
矢野が僕より6メートルぐらい後ろに立っていた。


りおと呼ばれドキドキした。
りおと呼ぶのは耕一や極々少数の人だったから。


矢野は僕に何かを放り投げた。
僕はキャッチし損ねそうになりながらもなんとかキャッチした。


サンドイッチだった。


矢野は僕が変なキャッチをしたので、それを笑っている。


「あげる」
そういうと矢野は先で待たせていた
同じ窓口の人の方へ走って行ってしまった。


「水も滴るいい男」ポンッと頭を叩かれた。
耕一はいつもの耕一に戻っていた。


「何が?」
「俺もサンドイッチ食べたかったな」


「なんだよ、見てたのかよ」
僕は大型の封筒を集めながらそう言った。


「見えたの」


「あ、そう」
「あ、そうって、どうよ?おまえら付き合ってんの」


「仕事しろって」
「照れてんの?」


「違うよ。まだそんなんじゃない」
僕は封筒を台にトントンとそろえながら言った。


「そんなのってどんなの?」
「だから違うって」


「なんも言ってないけど」
「ああ・・・いや仕事しろって」


「はいはい」
耕一は作業に取り掛かった。




【0012】

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