Side:圭介
「ん〜…、いまのは効いた…」
水人からくらった蹴りの威力に転がったまま、ゴロンと体を仰向けにする。
目に映るのは、徐々に橙色に染まっていく雲ひとつ無い空。
一緒に帰るはずが、気付けば自分はここに置いてきぼり。
大の字に両腕を広げると、小さく息を吐いて水人を思い浮かべた。
片思いだった時より、両思いになった今の方がもっと辛いのはなんでだろう。
好きになればなる程強くなる独占欲。1つが手に入ればまた次の望みが溢れ出す
尽きない欲望。
「…なんで俺一年なんだろ…」
世の中はなんて理不尽なんだ。
水人と同じクラスで同じ時間を共有している奴らの中には、別に水人と一緒じゃ
なくても構わないって思ってる奴らもいるはずなのに、24時間365日水人と
一緒にいたいと思っている俺が、クラスどころか学年さえも違うなんて…。
「…神様のバ―――カ!」
空に向かって叫んだその言葉は、虚しくも宙に散る。そして自分に降り注ぐ。
…理不尽さ倍増だ…。
何やってんのかなー俺…。
もう一度溜息を吐くと、腹筋を使って一気に跳ね起きた。
友達とカラオケに行くという水人の言葉を思い出して、一瞬、邪魔しにいってや
ろうか…、とも考えたけれど、それが水人の怒りを買う事がわかりきっているか
らには、そうもいかない。
「…しょうがないから、今日は大人しく帰ろっかな…」
自分でも無自覚な状態で顔に寂しげな表情を浮かばせると、制服についた汚れを
大雑把に手で払いながら屋上を後にした。
side:圭介end
【0035】
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