残暑の物語 1





「お前ら、土日の休みで悪さするんじゃないぞー」



そんな担任の言葉で金曜日のSHRは終了した。



一斉に騒がしくなる教室内。



これから部活に行く者もいれば、下校してバイトに行く者もいる。



皆がバタバタと移動する中、昼休みにクラスの奴ら数人からカラオケに行こうと 誘われていたのを思い出して、椅子に座ったままその企画者の姿を視界に入れた 。



いちばん窓際の最後尾にある俺の席から、一列置いて斜め前の席に座っている男 、瀬川雅司(せがわ まさし)。

「この学校の校則が緩くて良かったな」と言った時に、「校則が厳しくても俺は 変わらないよ」と言い切ったその潔さを表すかのような金茶色の髪。



高校を卒業したらホストにでもなりそうな容貌は、学校内の女子にもすこぶる評 判は良い。



中身はけっこう難しい奴だと思うけどな…。



窓に背を寄り掛からせて足を組みながら、話しかけるでもなくボーっとその姿を 眺めていると、視線に気づいたのか瀬川がこっちを振り向いた。

それまで瀬川と話をしていたクラスメイトの女子が、突然会話に乗ってこなくな った瀬川を見て、それからその視線の先にいる俺を見て不思議そうに首を傾げて いる。



俺も首を傾げたいくらいだ。



笑うでもなく睨むでもなく、何故か真顔の瀬川に見つめられている。



ホスト系のその甘い顔は、表情がなくなると案外物騒な雰囲気になるんだな…、

なんて妙なところで感心してしまった。



【0027】

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