「…もしかして、お前…、あの時の…」
二ヶ月前の出来事を完全に思い出し、あの時の新入生が今目の前にいるコイツだ
と漸く気が付いた。
…けれど…。
「…なんで頭がオレンジになってんだよ。あの時は普通に黒かっただろ」
マジマジと横に座る相手の顔を見ると、確かに見覚えがある顔だった。
…頭がオレンジ色に変わっている事を除けば…だけど…。
「大人になるとオレンジに変わるの、俺の頭は」
「…んなわけあるか!」
そんな人間がいてたまるか。
ツッコミどころが満載で、かえって言葉が出てこない。
何やらもう疲れてしまって、体中の空気が抜けるくらい深い溜息を吐いて一気に
脱力した。
「…あ〜もう、とりあえず初対面じゃないって事は理解した。…で?その命の恩
人である俺に向かって初っ端から蹴りを入れた理由は?」
「ん?…愛情表現に決まってるだろ?」
当然とばかりに、けろっとした態度で言われてしまった。
…そこに何か疑問を持つ俺が間違ってるのか?…違うよな…、おかしいのはコイ
ツだよな?
「…お前の愛情表現は果てしなく間違ってる。…っていうかその愛情表現は隣の
女子高の奴らに向けてくれ…」
これ以上話をしていたら自分の常識観念が狂う気がして、言い捨てるように言葉
を吐いて立ち上がった。
「入学式の事は気にするな。親切心で助けた訳じゃないし単なる気まぐれだ。…
それじゃ元気でな、一年坊主」
下からこっちを見上げる視線を感じながらも、これでもうコイツに振り回される
事はないだろう…と、内心安堵の息を吐き、肩越しにヒラヒラと片手を振って屋
上を後にした。
【0011】
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