横になって腹を押さえながら何度か咳き込んでいると、目の前に相手がしゃがみ こんで顔を覗き込んでくる。



「何まともにくらってんだよバ〜カ」

「…ゴホッ…、お前それ…やった本人のセリフかよ…、せめてすまなさそうな顔 くらいしたっていいだろ」

「すまないと思ってないから無理」

「…あぁ…そうですか…」



やっと苦しさが治まり、一度大きく深呼吸して息を整えると、また立ち上がるの も馬鹿らしくなってそのまま仰向けに寝転がった。

…あー、空が青いなー…。



「…オイ、人の存在を無視するな」



なんか隣で煩い奴がいるけど、…風も気持ちイイし、…このままサボるか…。



「…って、何してんだよお前!」



顔に影が落ちたかと思ったら、唇に柔らかな何かが押し当てられ、影と共にすぐ 離れた。

何が起きたかわからずに一瞬ボーっとしたけれど、それが何かわかった瞬間、勢 いよく上半身を跳ね起こしてオレンジ頭を睨みつける。

信じられねぇ、コイツ…。



「俺のこと無視するアンタが悪い」

「だからってキスするか?!普通!」

「俺、普通じゃないから」

「………」



…このパターンは、どこかで覚えが…。



怒りと脱力で震える拳をグッと握り締めて、殴りたい衝動をなんとか堪えた。

ダメだ…、コイツとは意思の疎通が出来ない。…教室に戻ろ…。

意識すると鈍く痛む腹に手を当てて、ゆっくり立ち上がる。

金輪際コイツに関わるのはやめよう。

そう心に固く誓って歩き出した、…いや…歩き出す『はず』だった…。



【0006】

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