依頼(3)


女性が依頼した夫の浮気調査をする。


調査に入る前には徹底的に依頼者との打ち合わせが必要で、かつ重要だ。


依頼者は妻である。調査の着手金は2回目に会った日に受け取っている。


だから余計に依頼者の考えが変わらないかが心配だった。


着手金を諦めれば、離婚に近づかない。


何かの間違いかもしれないという微かな希望。


反対に湧き上がる、悔しさと憎しみと絶望感が頭の中を交差する。


夫が自分から離れていくのが切ない。


夫は私の何が不満で他の女に手をだしたのか?


気が付つかなかった自身が腹立たしい。


私と夫は誰からも似合いの夫婦と云われてきた。


少なくとも私は、不満などはかけらさえも感じてはいない。


だから悔しい、裏切りは許せない。


過ちで在って欲しい。夫が進んで自分から女に誘惑されたんだ。


そう私に詫びてくれたら離婚などは考えていなかったのではないか、
今も同じ気持ちだろう。


このように、私は依頼者の妻の気持ちを考えてみたが、
反対に女の愛がどれ程に執念深いものかを忘れる私ではない。


過去に見た依頼者のタイプを選択し判断した時この女の性格は見抜けたはずである。


性的欲求の固まりが顔に出ていた。


話す当人は自身の本心は絶対に見抜かれないようにと、
細心の注意を祓っていたに違いはずだ。


女としての意地とプライドである。




【0006】

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